「固有名詞は最小の引用単位」(by ×山宏御大)

葛西善蔵「父の出郷」

(以下メモです)
固有名がイニシアルになっている点について。

物語の氾濫を抑えるため

「雪子」のみが名前を与えられている。しかしこの雪子は”雪のようにはかなく消える子”?、としての意味が付与されており、「薄命に違ひない」と考えられ、さらに「雪をんなの子を抱いてやるとその人は死ぬ云ふ郷里の伝説」を引用してくる。

葛西には固有名=物語の引用という意識があったのではないか。そのために固有名をイニシアルに変えることによってその作用を押さえ込む意図があったのではないか。

すべての出来事を自分の惨めな生活の予兆として読むことによる葛西の物語の作り方とかかわりがあるのではないか。

私小説=メタファーの多用

さまざまなもの(出来事)がアナロジーを介してつながっていく。